ロモグラフィーパートナー: NADiff BAITEN in 東京
日本をはじめ、世界各国にはフィルム写真を支えるロモグラフィーパートナー がいます。今回は東京都写真美術館に併設されているNADiff BAITEN さんをご紹介いたします!
読者のみなさまへ自己紹介をお願いします。
東京都写真美術館に併設されているNADiff BAITENの店長、田代つかさと申します。
NADiff BAITENは国内外の写真集を中心に、写真に関連した雑貨などを取り扱っているミュージアムショップです。
仕事内容は美術館での展示に合わせて写真集をセレクト、仕入れを行ったり、お店の雰囲気に合うかどうかを考えながら商品をそろえています。美術館に併設されているショップなので、アート寄りで作家性のあるものをセレクトするようにしています。また、個人の作家さんが作られた写真集を持ち込まれることもあるので、その販売の相談に乗ったりすることもありますよ。
お店をを続けている中で、お気に入りの思い出や印象的な瞬間はありますか?
お客様が写真集を探されていて、かなり限られた情報をもとに写真集を探し当てることが出来たときがありました。私の持っている知識をフル稼働させておすすめした写真集が、お客様の求めておられる1冊だったときは嬉しかったですね。
インスピレーションのもとは?
詩人や歌集など、『言葉』を使う人・本などからインスピレーションを受けています。
名前を挙げるとしたら、岡田隆彦さん。かつて写真同人誌の『プロヴォーク』を創刊した一人でもあります。(※『プロヴォーク』・・・1968年、中平卓馬、高梨豊、多木浩二、岡田隆彦によって創刊された写真同人誌のこと)
お店でPOPを書いたり、雑誌のレビューコーナーや写真関連の書籍に文章を書くこともあるので、自分の言葉で表現する機会が多くあります。
歌集などからは文章仕事をするときに良い影響を受けていると思います。
仕事で一番好きなことは何ですか?
お客様から『こういう写真集を探している』と、ご相談いただいて断片的な情報からお探しの写真集を見つけ出したときです。
また、ざっくりとしたイメージで写真集を探されているお客様へ、いくつか選んでおすすめしたりするのも楽しいです。
他には資料や研究目的で写真集を探しに来られる方もいます。知識がないとしっかり対応できないところもこの仕事が面白いポイントです。
そして、私が好きな作家の写真集が売れるととても嬉しい!
また、一番大変なことは何ですか?
写真集は通常本屋さんに多く並んでいる本にくらべ、重版されないケースが多く絶版になってしまう確率が高いです。お客様からのお問い合わせで、探している写真集がすでに手に入らないものになってしまってご用意できない事があるのが心苦しい時ですね。
基本的にNADiffでは新品の本を仕入れています。中には古書もありますが、そうなると値段も上がってしまいもともとのお値段で買えないことも。
出来れば欲しいと思われた写真集は出版されたらすぐ買うことをおすすめします。
お店のお気に入りの商品(またはフォトブック)で、お勧めのものはありますか?
3つに分けてご紹介したいと思います。
まずはおすすめから。
私の一押しの写真家、篠田優さんの ひとりでいるときのあなたを見てみたい です。
静謐さを感じる写真が多く、ひとつひとつ丁寧に考え抜かれて構成されている美しい1冊です。
売れている本から、原美樹子さんの SMALL MYTHS をご紹介します。
Q:ここになぜこの本が売れているか、ポイントがあれば教えてください。
→日常の風景がノーファインダーという手法を使って切り取られているのですが、身近な風景でありながらも新鮮で、不思議な世界を見せてくれる写真群がとても魅力的な1冊なのだと思います。
最後に必読書として深瀬昌久さんの 鴉 を。とにかく格好良くて大好きな写真集です。
Q:ここに田代さんからこの写真集についてコメントをください。
→この写真集は深瀬昌久という作家自身の心情が強く反映されているような物寂しさと孤独を感じるのですが、写真1枚1枚の持つ強いイメージの力にも驚かされる1冊です。
東京にいることで一番好きなことは何ですか?東京でお気に入りの撮影スポットはありますか?
私自身も写真を撮り作品づくりをしていて、スナップ写真に詩や短歌を載せた写真集を制作しています。
ぶらぶらと東京の街を歩くのが好きです。
東京で特定のお気に入りの撮影スポットはないのですが、街と街の隙間にある、普段は意識しないような見過ごされている風景を撮るのが好きですね。
ヒビや亀裂、ほころびのような『異質』なものに惹かれることが多いです。写真になると現実が変容するように思えて、目で見た風景よりも違和感を感じるんです。そういう感覚が好きで、華やかさからは離れた場所の写真を好んで撮っています。
無名の住宅街や謎の空き家など匿名性のある場所というか、『都市の一部』のような場所も好きです。都会の真ん中で人の気配があるのに、置き去りにされてしまったような場所が気になりますね。
NADiff BAITENのウェブサイトはこちら から!
他にも日本そして世界各地のロモグラフィーパートナーを紹介していきます!次回をお楽しみに!
Lomography Japan:Instagram / Twitter / Facebook / ショップページ
2023-11-08 #ロモグラフィーパートナー alexgray の記事
コメントはまだありません